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食品成分表

【成分表連載27】正誤表の質と量をひとめで感じていただけるように並べてみました

知れば知るほどおもしろい!「食品成分表」渡邊智子栄養学食品成分表

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渡邊智子 学校法人食糧学院 東京栄養食糧専門学校 校長

 

わたなべともこ東京栄養食糧専門学校校長。医学博士。千葉県立衛生短期大学、千葉県立保健医療大学、淑徳大学を経て現職。千葉県立保健医療大学名誉教授、千葉県学校保健学会理事長。文部科学省による日本食品標準成分表の策定に食品成分委員会委員等として30年にわたり携わり、成分表活用の研究・提言を行なう。千葉県食育推進県民会議委員として千葉県の食育ツール(グー・パー食生活ガイドブック等)の開発・普及も行なっている。

おせちや節分、桃の節句…その料理の食材のほとんどを収載

2022年になり、お正月と節分の2つの年中行事が終わりました。

少し時間が経ってしまいましたが、お正月にはおせち料理を召し上がりましたか?

日本人にとって最も華やかなお料理がおせち料理だと思います。私のふるさとの新潟では、鮭やいくらも入る具沢山の雑煮とあんこ雑煮の2種類がメインで、どちらも大好きな料理です。お正月になると、大きな鍋としゃもじを使って(あんこ用の鍋としゃもじが登場します)、大量にあんこを煮ます。きな粉は青大豆の鶯きな粉を用意します(そのきれいな緑色に慣れていたので、初めて黄大豆のきな粉を見た時には、失礼ながらきたない色だと思ってしまいました。きな粉と言えば、今も青大豆きな粉です)。

節分には炒り大豆やイワシの塩焼きを召し上がりましたか? 落花生を鬼大事に撒く家庭も多くなっていると聞いています。そしてまもなく桃の節句がありますね。

さて、各地域により年中行事の料理に多少の相違はありますが、その食材のほとんどが成分表2020(八訂)には収載されているので、栄養計算も可能だったのではないでしょうか。各家庭では計算をするわけではありませんが、給食施設やおせち料理メーカーは栄養計算ソフトを使って計算されていることでしょう。

お待たせしました!2022年最初の「成分表2020(八訂)」についてのお話です。楽しみにしてくださっている(?)皆様にはスタートが遅くなってしまったことをお詫びいたします。

 

食酢のエネルギー量が高くなったり低くなったり…!?

「成分表2020(八訂)の食酢のエネルギー量は、成分表2015(七訂)よりも高い値になっていたのに、新しい成分表では急に減って元に戻っています。なぜですか?」との問い合わせがありました。

文科省のサイトでは、成分表2020(八訂)の正誤表が公表されていますが、「正誤表が出ましたので、使っている成分表のデータを修正してください!」とユーザーにお知らせが届くわけではありません。

一方、民間出版社は,正誤表を反映させた最新の成分表を毎年公表しています(その努力はユーザーにとってありがたいと思います)。そのため、正誤表を反映した最新版の成分表を使った場合に、上述した問いが出てくるのだと思います。

では、現時点(2022年2月)の成分表2020(八訂)の正誤表を見てみましょう。

文科省のサイトを開くと、下記の画面が確認できます。

 

の丸部分は、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)アミノ酸成分表編」、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)脂肪酸成分表編」、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)炭水化物成分表編」の解説と食品成分データです。

丸部分が正誤表です。下記に拡大しました。

正誤表の内容を俯瞰できるように並べてみました

1つめの

正誤表(データ) (Excel:251KB) Excel

これをダウンロードすると、現時点のデータについてのこの正誤表のファイルを入手できます。見てみましょう。

 

上の赤枠を見てください。シートが12枚あります。青枠は、修正日です。

各シートのシート名、表のタイトル(青文字)表の数値の修正日の順番(緑文字)修正箇所の行数(赤文字)を下の囲み部分に記載しました。これは正誤表の質と量の程度をつかんでいただくために並べてみたものですので、ざっとご覧いただければ充分です。

1.本表第2章日本食品標準成分表2020年版(八訂)のデータ更新 正誤表

令和3年2月3日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※1

令和3年11月18日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※2

令和3年12月27日訂正:※3

531データ 

2.別添1本表アミノ酸組成によるたんぱく質及び脂肪酸のトリアシルグリセロール当量の補正に伴う修正

令和3年11月18日訂正

360食品

3.本表2020年版(八訂) 本表

令和3年2月3日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※1

令和3年11月18日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※2

令和3年12月27日訂正:※3

75食品

4.ア第2章日本食品標準成分表2020年版(八訂)アミノ酸成分表編のデータ更新 正誤表          

令和3年11月18日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※2

令和3年12月27日訂正:※3

19食品

5.ア第1表日本食品標準成分表2020年版(八訂)アミノ酸成分表編    第1表 可食部 100 g 当たりのアミノ酸成分表             

令和3年11月18日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※2

7食品

6.ア第2表日本食品標準成分表2020年版(八訂)アミノ酸成分表編    第2表 基準窒素 1 g 当たりのアミノ酸成分表              

令和3年11月18日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※2

1食品

7.ア第3表,日本食品標準成分表2020年版(八訂)アミノ酸成分表編    第3表 アミノ酸組成によるたんぱく質 1 g 当たりのアミノ酸成分表   

令和3年11月18日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※2

1食品

8.ア第4表,日本食品標準成分表2020年版(八訂)アミノ酸成分表編   第4表 (基準窒素による)たんぱく質 1 g 当たりのアミノ酸成分表

令和3年11月18日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※2

1食品

9.脂第2章,日本食品標準成分表2020年版(八訂)脂肪酸成分表編のデータ更新 正誤表

令和3年11月18日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※2

令和3年12月27日訂正:※3

21食品

10.炭第2章,日本食品標準成分表2020年版(八訂)炭水化物成分表編のデータ更新 正誤表

令和3年2月3日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※1

令和3年11月18日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※2

令和3年12月27日訂正:※3

62食品

11.炭別表1炭水化物成分表編 別表1 可食部100g当たりの食物繊維成分表

令和3年2月3日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※1

令和3年11月18日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※2

令和3年12月27日訂正:※3

30食品

12.炭別表2,炭水化物成分表編 別表2 可食部 100 g 当たりの有機酸成分表

令和3年2月3日訂正(令和3年12月27日に反映漏れを修正):※1

令和3年12月27日訂正:※3

7食品

成分表2020(基本の成分表の正誤表シート)は、本表第2章、別添1および本表の3つのシート、アミノ成分表編については、ア第2章、ア第1表、ア第2表、ア第3表およびア第4表の5つのシート、脂肪酸成分表編は脂第2章のシート、炭水化物成分表編は、炭第2章、炭別表1および炭別表2の3つのシートです。

数値の修正が思った以上に多いと思われたことと思います。

ユーザーの皆様は、これらの数値を反映してある成分表を入手されることをおすすめします。購入する前に、正誤表が反映されていることを確認してください。書籍に記載してありますが、見てもわからない場合は、書店の店員さんや出版社に聞いてみましょう。

さて、次に正誤表の2つ目の赤丸部分のPDFファイルを見てみましょう

その内容は…

 

日本食品標準成分表2020年版(八訂) 正誤表(共通用語等)

ファイル名

共通(本表・アミノ酸・脂肪酸・炭水化物)

2020年版(八訂) 脂肪酸成分表編

2020年版(八訂) 炭水化物成分表編

日本食品標準成分表2020年版(八訂) 正誤表(説明部)

 日本食品標準成分表2020年版(八訂)第1章及び第3章

 

(別添1)

2.食品成分表2020年版と2015年版の計算方法によるエネルギー値の比較及び2015年版で適用したエネルギー換算係数

(別添2)

表26 地方区分別の水道水中の無機質

表27 源水区分別の水道水中の無機質

(別添4)食物繊維成分表の追加収載

ここにも沢山の修正が出ています。

これらの修正についても、毎年成分表を編集し直している出版社では、編集者がユーザーの皆様のために丁寧に対応し、成分表の内容を最新の値に更新しています。(民間の出版社が毎年、成分表を発売し、その書籍名に発行年の入れている意味がよくわかります!)。これを個人のユーザーが行なうのは大変です(くらくらしませんか)。

成分表2020(八訂)の策定にかかわったメンバーとして、正誤表が大量になっていることについて心からお詫びいたします。また、正誤表を反映した成分表2020(八訂)を編集し販売してくださる出版社には心から感謝しています。また、今年ほど、毎年、成分表を購入しなおす必要性を強く感じたことはありません。

ユ―ザーの皆様には、女子栄養大学出版部の成分表等、正誤表を反映している民間の成分表をぜひ、ご利用ください。

最初の問いに戻りますが、成分表のデータの変更は、文科省資源室が公表した正誤表を反映して変更されています。ときおりこのサイトを確認するなど正誤表情報にも気をつけて、成分表を活用しましょう。

また、四訂日本食品標準成分表は,昭和57年に公表されましたが、平成7年に正誤表を反映した二版が公表されています(科学技術庁版の表紙のイラストの色が緑から青に変わっています)。このような事例もあるので、成分表2020(八訂)の二版を公表し、正誤表の情報をすべてのユーザーに届けていただくことを期待しています。


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