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保育園での「食物アレルギー」の対応は? 親が知っておきたいこと。

食物アレルギー新刊

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保育園に入園する際、食物アレルギーを持つママ・パパは、「給食は対応してくれるの?」「誤食の心配はないの?」と不安も多いことでしょう。

食物アレルギーをもつ子どものために、保育園ではどのようなとり組みが行われているのか、昭和大学医学部小児科学講座教授 今井孝成先生にお話を伺いました。

 

・この記事は『子どもの食物アレルギーあんしんBOOK』(女子栄養大学出版部)の記事から、一部改変したものです。

え/ みやれいこ

国のガイドラインに沿った対応が基本

保育園での食物アレルギーへの基本的な対応は、国が定めた「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」に基づいて行なわれます。※ガイドラインは厚生労働省のホームページで公開されています。

保育園では、子どもの健康な生活の基本として「食を営む力」の基礎を育てる食育に力を入れていて、すべての子どもに、給食を提供することが原則。それは、食物アレルギーの子どもに対しても同じです。そこで園では、給食提供を前提として、ガイドラインをもとにアレルギーの症状が出るのを防ぐとこと目的としたとり組みを行なっています。

 

誤食を防ぐための対策は?

保育園での食物アレルギー対応で特に重要なのが、給食での誤食の予防です。調理中の混入を防ぐため、作業工程が複雑な献立は避ける、指差しや声出しによる確認を徹底する、専用のトレーや食器を使用するなどのさまざまな対策が、調理・配膳・食事中・片づけと、工程ごとに実施されています。

安全のため、「部分除去」ではなく「完全除去」

食物アレルギーがある子どもの場合、保育園の給食は安全を考慮して「完全除去」が原則となります。本来、食物アレルギーでは「必要最低限の除去」が基本ですが、それはあくまで家庭の場合。集団給食で部分除去を行なうと、事故のリスクを高めることになります。一人一人のアレルゲンや食べられる量が異なるため、調理や配膳などの手順・管理が非常に複雑になり、誤食につながりやすいのです。

 

完全除去の方法としては、特定の食物を除去した「除去食」、除去した食材の代わりに別の食材を加えたり、調理法を変えたりして栄養を調整した「代替食」があります。主食や果物など、食事の一部を家庭から持参することが必要になる場合もあります。

「生活管理指導表」を使って情報を共有!

食物アレルギーに対して適切な対応をしてもらうためには、入園前に医師、保護者、保育園の間で必要な情報を共有する必要があります。そのとき、情報共有ツールとなるのが「生活管理指導表」です。

 

生活管理指導表は、アレルゲンや配慮が必要な事柄などを記載する書類で、医師が作成します。書式は各自治体で多少違いますが、記載内容は共通です。保育園から書類が配布されたら、かかりつけ医に記入してもらいましょう。

 

この生活管理指導表をもとに園と保護者が面談し、給食での具体的な対応や必要な環境整備などについて話し合い、対応を決めていきます。


いかがでしたでしょうか。親も保育園での対応の基本を知っておくと、子どもを安心して預け、園の先生とうまく協力体制を築きやすくなります。

 

お話を伺った今井孝成先生が監修した『食物アレルギーあんしんBOOK』(監修/今井孝成・近藤康人・高松伸枝)では、ママ・パパはもちろん、子どもを預かる保育士、栄養士にも役立つ情報をくわしく紹介しています。

▼『子どもの食物アレルギーあんしんBOOK』では、そのほか、保育園・幼稚園に預けるママ・パパが知りたい、こんなことがわかります。

▪ 入園前の面談で話しておくべきこと。
▪ よくわかる!「生活管理指導表」ガイド
 (記入項目の解説、活用の流れなど)
▪「初めて食べる」は家庭? 保育園?
▪ 給食以外の場面で注意すべきこと
▪ 除去解除をするときの手順は?
▪ 緊急時のために備えておくことは?
▪ 幼稚園でのアレルギー対応
▪ 小学校入学にあたってやっておきたいこと etc

関連書籍

忙しいママ&パパのお悩み解決!
『子どもの食物アレルギー あんしんBOOK』
[監修]
今井 孝成 昭和大学医学部小児科学講座教授
近藤 康人 藤田医科大学ばんたね病院小児科教授
高松 伸枝 別府大学食物栄養科学部教授

B5判変型 176ページ/定価1980円(税込)

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