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食品成分表

■連載【1】2020年年末には八訂が公表!「食品成分表」についてお話していきます

知れば知るほどおもしろい!「食品成分表」渡邊智子栄養学食品成分表

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渡邊智子
淑徳大学看護栄養学部教授/文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会食品成分委員会主査代理

こんにちは。「食品成分表」を使うために知ってほしい知識・技・ノウハウなどを自由に書いてくださいと依頼がありました。「食品成分表」の策定に関わっていることと、それを使っているユーザーでもあることから、このご依頼をお引き受けしました。編集担当の監物さんにサポートしてもらいながら、みなさんのお役に立つ情報を提供したいと思います。では、第1回です。

その国で暮らす人のための、その国で食べられている食品の成分表

「食品成分表」は、食品100g当たりのエネルギー量や栄養素量などを示した食品のデータベースです。日本の「食品成分表」の正式名称は、「日本食品標準成分表」です。「食品成分表」を見ると、個々の食品の栄養学的な価値(特徴)がわかります。

残念ながら、香りやおいしさ、価格など、食品を評価するほかの要素はわかりません。

多くの国々では、その国で暮らす人のために、その国で食べられている食品を選択し、その食品を分析(あるいは文献調査)し「食品成分表」を策定しています。そのため、その国の「食品成分表」を使って、そこで暮らしている人々の食事のエネルギーや栄養素量を計算すると、摂取しているおおよその量を把握することができます。このことは、成分表を利用する大きな目的の1つです。

日本でも各国でも、何度も改訂され その国の人々の現状にあうように変化している

私たちが摂取している食品、料理は、どのくらいのスパンで変化しているのでしょうか。昭和の初期に比べ、変化のスピードが速くなっているように感じませんか?

食品の栄養素(成分)の定義や分析技術は、いつどのように進化し、どの時点で最終的な決定といえるのでしょうかたとえば、水分、粗たんぱく質、粗脂肪、灰分、差し引きによる炭水化物の定量法は、「四訂日本食品標準成分表」以降、ほぼ現在も同じです(それぞれの正確な意味は,おいおい解説していきますね)。
しかし、食物繊維は、現在、新しい方法で順次分析中で、分析されたものから更新されています。

日本でも各国でも、「食品成分表」は、何度も改訂され、その国の人々の現状にあうように変化してきました。

日本の「食品成分表」(初版から七訂)

 

写真は、初版から最新の七訂の文部科学省が発行している成分表の表紙です。

本の大きさや厚みが異なっています。

各成分表の収載食品数と収載成分項目数をに示しました。

 

 

日本の「食品成分表」の収載食品数と成分項目数の変遷

食品と成分数推移

 

食品数は「四訂成分表」で増加し(図上)、成分項目数は「五訂成分表」で増加しています。食品数の増加は、食べている食品の変化や増加、食品の細分化、調理した食品の追加です。

成分(栄養素)項目の増加(図下)は、栄養素の分析法の変化や進歩(定量法の精度向上、費用の安定化など)、定義の変化などの理由によるものです。

そのため、ユーザーは、利用できる最新の「食品成分表」を使うことが必須です。

三訂までは手計算や電卓での栄養価計算があたりまえだった!?

からわかるように、初版から「三訂日本食品標準成分表」までは、食品数も成分項目数も少なく、手計算や電卓(1972年ごろに普及)で栄養価計算を行なうことがあたりまえでした。

しかし、収載食品数も成分項目数も改訂に伴い増加し、現在は栄養計算ソフトの利用なしで栄養価計算を行なうことはむずかしくなっています。手計算や電卓に比べ短時間に正確にできます。大多数の人が、栄養価計算は栄養計算ソフトで行なっている現状です。

そのため、手計算の場合には行なわれていたこと

 

「食品成分表」を使う(読む)ので選択する食品とその周辺に記載されているほかの情報も目にする(読む)こと

が行なわれなくなっています。

「食品成分表」を“読む”と、目的とする食品の周辺の食品の情報からも、気づくこと、わかること、役立つことが、たくさんあります。ぜひ、成分表を読んでみませんか。

2020年12月のクリスマスのころに、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(仮称)が文部科学省から公表予定です。

この成分表では、エネルギー値の算出方法が「組成に基づく成分値を基礎としたエネルギー値」に変更される予定です。従来法である粗タンパク質、粗脂肪、差し引きによる炭水化物は、計算に使わない方法です。この2つの方法の違いも、今後お伝えしたいと思います。

コロナ禍で大変な日々と思いますが、お身体たいせつにお過ごしください。

 

参考
文部科学省ウェブサイト
日本食品標準成分表・資源に関する取組
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/index.htm

関連書籍

七訂食品成分表2020

香川明夫/監修

私たちが日ごろ食べている食品にはどんな栄養素がどのくらい含まれているのでしょうか? 「食品成分表」はそのデータ集であり、女子栄養大学出版部では食と健康に関する最新資料とともに「本表編」と「資料編」の2分冊にとりまとめて毎年出版しています。

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